Free Associationsについて
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参考:
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以下NAMホームページに掲載された柄谷行人のエッセイです。
FA宣言 柄谷行人
Qの問題をきっかけにして、NAMがもつ問題性が危機的なかたちで奔出した。その結果、さまざまな改革案が出されたが、たんなる改革では、NAMを蘇生させることはできないという結論に達した。
NAMの代表団は協議の結果、NAMを解散することを提案した。私はそれに賛成し、代表団の英断に敬意を表する。この提案の論旨はきわめて明快である。しかし、これは、NAM外の人々にとって、唐突に見えるだろう。だから、私は、この提案の背景を説明するとともに、今後の展望について、私見を述べておきたい。
本来、「NAMの原理」は、さまざまな運動体(アソシエーション)をアソシエートする原理として考えられたものである。つまり、そうした運動体が先にあることを前提している。そして、それらが、ばらばらにあるために孤立したり低迷してしまう状態を脱するために、NAMを形成する、というのが、あるべき順序であった。
しかし、そのような運動体がない状態で、NAMが始められた。というより、むしろ、運動を生み出すためにNAMが始められたのである。にもかかわらず、運動といえるほどのものがほとんどおこらなかった。そのため、NAMの組織機構の維持と運営が運動と取り違えられ、また、Qのように非現実的な空想にふけることが運動と取り違えられることになったのである。
運動がおこらないのはNAMの責任ではない。日本全体がそういう状態にあるからだ。たとえば、アメリカ合衆国によるイラク侵攻が近づいているのにデモもろくに起こらない所は、日本だけだろう。しかし、そのような政治的風土をわずかでも変えることができなかったことには、NAMも責任がある。
どんなに今のNAMの組織機構や運営の仕方をいじくっても、プロジェクトも運動も、おこるはずがない。それゆえ、NAMを一度解散し、会員が自由な個人free agentとして、あらためてアソシエーションを形成することから始めるほかない。そうして、さまざまなプロジェクトや地域運動がそれぞれアソシエーションとして成長したのちに、その必要があれば、あらためて、「アソシエーションのアソシエーション」としてのNAMを結成すればいい。
NAMほどの規模の組織が解散することは異例であり、もったいないと思う人がいるだろうが、そのようなことを平然とできるということが、アソシエーショニストの面目である。その意味で、NAMは解散することにおいて、まさにNAM的たらんとしている。むしろ、NAM的なものが存続するのは、現実のNAM組織を解消することによってである。
具体的にいえば、NAMの解散とは、現在のNAMから、事務局、評議会などのすべての上部機構をとりさることである。現在の関心系や地域系の諸組織は、それぞれ独立したアソシエーションを形成する。もしくは、消滅する。入会手続きや運営などの仕事は、それらが独自にやることになる。
次に、それらの連絡会議Free Associationsが作られる。これはゆるやかな相互連絡の機構であって、NAMの評議会や事務局のようなものではない。また、FAは、「NAM原理」のようなプログラムを共有しない。したがって、これまでNAMと関係のなかった団体も加入してよい。
FAは、ホームページをもつ。しかし、それはこのNAMのサイトのようなものではない。FAは、参加したアソシエーションがそれぞれもつホームページへのリンクと案内、また、運動や相互連絡のための掲示板をもつだけである。それらの編集は、参加するアソシエーションが交代で担当する。
NAMとFAの違いの一つは、次の点にある。NAMにおいては、参加する者は個人だけであったが、このFree Associations には、団体のみが加入する。また、NAMがカントのいう統覚をもつものであるとすれば、FAは、それをもたない自由連想free associationのようなものである。もしここから「統覚」を求める動きがおこってくれば、NAMのような組織を再結成してもよい。しかし、けっしてそれを急いではならない。
私自身は、市民通貨をはじめ、いくつかのプロジェクトに参加するつもりである。なお、「NAM原理」は、もはや現実の組織と無縁となる以上、私の著作として自由に書き直すということにさせていただく。
(2002年12月11日)